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森のようちえんで育まれる子どもたちの姿

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 まず前提として、森のようちえんを行う際の子どもの人数は20~30人を一つ集団の単位として異年齢の子どもたちによって構成されているとしましょう。そしてほぼ毎日、森や自然の中で数時間を過ごす。そのような森のようちえん生活を一年以上行うことができていれば、以下のことはどこでも起こりえます。

1、自然の中で動くことで身のこなしが良くなり、基礎的な体力が育まれる

 不整地やさまざまな斜面のある環境において遊ぶために、子どもたち
には多様な身のこなしが求められます。初めのうちはぎこちない不慣れ
な動きをしていた子でも、時間の経過に伴い自分の身体を器用に使える
ようになります。日数を経れば筋力も増し、さらに安定したバランスの
良い身のこなしをするようになります。子どもたちは知らず知らずのう

ちに良質な身のこなしと体力を獲得します。身体的な動きの良さを獲得
することは精神面にも当然影響をもたらします。気持ちが前向きにな
り、積極性が増します。行動することに余裕や自信を見せますし、表情が明るくなります。発語も多くなり人間関係においても関わりを持とうとする前向きな動きが多くなります。

2、異年齢の子ども集団の中で、子どもが相互に影響し合いながら成長する

 森のようちえんは異年齢で同じ空間や時間の中で過ごすことが多いの
で、年齢の違いを子どもたちもよく理解します。身体の大きさ、行動の
違い、理解力の差やその他にも年齢による違いがあることをよくとらえ

ています。年下の子たちは年上の子たちが行っていることを興味深く見
ていますし、いつかあれをやってみたいとそのチャンスをうかがってい
ます。当然今すぐにやってみようとも思っていますから、年上の子と同
じようなことをやる子もいます。下の子は上の子を手本にして自分を成
長させます。

年上の子は年下の子に対してその違いを認めた対応をします。優しかったり、親切な声がけであったり、行動を手伝うなど、自分より小さな子に対する向き合い方を、年長者である自覚を持って行います。年長者である自己認識はその子自身の成長といえます。年長者である自分の行動を自らが決める主体的な動きは、更なる自分の成長へとつながります。

3、自然の中での偶発的な遊びと興味関心による遊びの展開が多くなる

 森のようちえんでは森や自然の中で何をするのか、あらかじめ決めら
れてはいません。大人が活動を用意する場合もありますが、多くは子ど
もたちの裁量にまかされた動きでその多くの時間が占められています。
要するに森や自然の中でどんな遊びを行うかは子どもまかせです。その
環境の中にある物や状況、誰かのアイディア、誘い合いや偶然いたメン
バーで遊びがはじまります。これら偶発的にまた興味関心の延長線上に
ある遊びの展開は、予定されたプログラムを行うこととは違った要素が
あります。ここではその子自身の発想や思考により全てを自らの裁量で行うことが起こります。その発想や思考がその時点のその子の全ての能力+価値観+技量を結集した行為です。この様子はまさに主体的な自主性に起因するものです。そこに他者の関わりや連動する複数のメンバーとの動きが加わるなど、さらに複雑化した遊びが連鎖し継続的な展開を見せます。こうした遊びの自然発生的な動きの中で、子どもたちはほぼ反射的にその展開を行い、どこがゴールなのかなどおかまい無しに、ことは進みます。この柔軟な動きや対応力、相互を受け入れ容認しながら問題も起こらず、それ自体を楽しむことができる子どもたちの姿があります。これをどう言葉に当てはめて表現するかは今の私にも難しいことです。

この3つのことは最初に上げた条件の中でしたら保育者の存在を無視しても起こりますし、更に枝分かれするように多様な要素や成長としてとらえられる内面的変化が起こります。これら全てを挙げることはより説明を複雑にするだけで難解なものになるでしょう。ここまではどの森のようちえんでも観察できるでしょうし、そこに保育者が適切に関わることで、更に教育的な価値をもった成長へと子どもたちは歩みを進めます。

2018/07/31

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